新型の豚インフルエンザの発生国として確認されたメキシコや北米からの到着便が集中する成田空港で30日、陸上自衛隊の防衛医官や看護師ら約30人が応 援に入った。厚生労働省は、新型インフルエンザの問題が起こる前と比べ、検疫の担当者を2倍の160人にし、態勢を強化した。
メキシコ、米国、カナダからの到着機内に検疫官4〜7人が入り、発熱測定装置で体温を確認し、健康状態質問票を全員に配布。ウイルスの潜伏期間とされる10日間の健康状態、住所などの連絡先を記入してもらう。
世界保健機関(WHO)が警戒度を3から4に上げ、同省が感染症法の新型インフルエンザと認定したのに伴い、搭乗者にとって検疫は義務になっている。
朝日新聞社4/30
(CNN) メキシコと米国で豚インフルエンザの感染がさらに広がっている。メキシコでは豚インフルエンザとの関連が疑われる死者数が81人に増え、米国ではさらに2人の感染が確認された。ウイルスが新型に変異した可能性も指摘されている。
米国では25日までにカンザス州で2人の豚インフルエンザ感染が確認され、これで感染者数は計11人となった。米疾病対策センター(CDC)が24日までに感染を確認したカリフォルニア州とテキサス州の9人は、既に回復しているという。
カンザス州当局によれば、同州で豚インフルエンザに感染した2人は出張でメキシコを訪れた男性とその妻だという。男性は帰国後にインフルエンザの症状が表れ、妻はそれから3日ほどして具合が悪くなった。2人とも入院はしていないが、1人はまだ回復していない。
さらに、ニューヨーク市内の私立校でも同日、インフルエンザに感染した生徒9人のうち8人に豚インフルエンザの疑いがあることが分かった。現在CDCにサンプルを送って詳しい検査を実施中。この学校では生徒約200人が具合が悪くなっているという。
メキシコでは25日、感染拡大を食い止めるため、大統領府が保健省に非常事態権限を付与すると発表した。必要と判断すれば、患者の隔離、旅行者の荷物検査や車両検査、家宅検査の実施、集会の禁止や公共施設の一時封鎖、旅行制限などを命令できる権限を保健省に与える。
メキシコ市は市内の学校と大学をすべて閉鎖、25日に開かれるサッカーの試合には観客を入れないことを決めた。
世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は25日、「事態は深刻であり、極めて注意深く監視しなければならない」と表明した。WHOはメキシコ政府の要請で係官を同国に派遣している。
WHOのグレゴリー・ハートル氏によると、メキシコで見つかったウイルスは新型に変異していることが分かったという。「ウイルスが変異すると、それまでの インフルエンザウイルスに対して人体が作り上げた免疫が、新型に対しては働かない可能性がある」(ハートル氏)といい、憂慮すべき事態だとしている。
こうした事態を受けてカナダの公衆衛生局は、「メキシコで死者を出した重い呼吸器疾患について状況を見守っている」とする旅行注意情報を出した。
米国は25日午後現在、渡航注意情報などの発令は行っていない。
豚インフルエンザは感染すると発熱、体のだるさ、食欲不振、咳、鼻水、のどの痛み、吐き気、嘔吐、下痢などの症状が出る。CDCは、こうした症状が出たら仕事や学校を休み、医者にかかってほしいと呼びかけている。
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